草刈機は、刈りたい草や場所に応じ、
駆動方式、刃、ハンドル形状、排気量などを選ぶ必要があります。
目的に沿った草刈機を使用することで、作業がより安全で効率的に行えるようになります。
まずは、どのような草刈機があって、どのような特徴があるのかをご紹介します。
動力 | メリット・デメリット | 特徴 |
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充電式草刈機 |
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草の種類、バッテリー容量、作業場所
エンジン式に比べ圧倒的な手軽さが魅力の充電式草刈機! |
エンジン式草刈機 |
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草の種類、作業場所、価格 エンジン草刈機は充電式草刈機と比べ、比較的低価格で入手ができます。 |
21ccクラス |
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軽くて扱いやすい!
価格帯もお手頃な物が多く初めてのエンジン草刈機はこのクラスがおすすめ。充電式草刈機よりも長時間の運転が出来るのもエンジン草刈機の魅力。一般のご家庭や公園、グラウンドなどでご利用いただけます。 |
23ccクラス |
軽さとパワーのバランスが丁度良い!
重量とパワーのバランスがとれた使いやすいクラス!23ccクラスからは腰丈の草も楽に刈れ、また多少茎のかたい植物も刈れるので活躍の場も一気に広がります。 |
26ccクラス |
背丈の草もスイスイ刈れる!
日常的に草刈をおこなう農業用や林業などセミプロ〜プロにおすすめのクラスです!専門分野に特化した草刈機も増え、背負式の草刈機、ジュラルミンを使用し軽さに特化したもの、4サイクルエンジンを搭載した草刈機もこのクラスからになります。 |
30ccクラス |
笹や大草刈りに!日常的に使うプロ仕様!
プロ仕様の製品が多く、中には40ccを超える大パワーを持ったエンジン草刈機や、経年劣化による消耗品が少ないフロート式キャブを使用したものなど、高耐久・高効率で作業が出来るハイパワー設計のクラスです。 |
※ 当表は参考であり、すべての草刈機に該当するとは限りません。詳細は草刈機個体の仕様表をご確認ください。
草刈機には、草刈りの状況に応じたハンドルや、持ち方があります。
ハンドル形状や持ち方の違いによって、使い勝手はどう変わるのでしょうか。
ハンドル形状 | メリット・デメリット | 特徴 |
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両手(U)ハンドル |
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一般的に草刈機といえばこれです。草刈機の重量を肩で支えるので、負担が少なく、振り回しも楽に行えます。主に平地に向いており急な斜面での作業には適しておりません。振動も少なく、初めて草刈機をご購入される方はこちらがおすすめです。 |
ループハンドル |
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ループハンドルと棹を手で持ち、本体の重量を腕で支え作業を行うタイプになります。ハンドルの握り位置で角度を変え安定させやすいため、より傾斜地などの作業に向いています。ハンドルを握る分刈刃が近くなるためより注意が必要です。 |
2グリップハンドル |
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棹にグリップ(ハンドル)がついており、棹自体を手で持ち、本体の重量を腕で支え作業を行うタイプになります。持ち肩によって角度を安定させやすいため、傾斜地などの作業に向いています。棹を握る分刈刃が近くなるためより注意が必要です。 |
バーハンドル |
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一部のメーカーが生産している、特殊なハンドル形状です。右手で後ろのバーを、左手で前のバーを持ち作業を行います。水平に構えやすいので、平坦地には適している反面、角度をつけることが難しいため、傾斜地での作業には適しておりません。 |
持ち方 | メリット・デメリット | 特徴 |
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肩掛け式草刈機 |
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一般的に草刈機といえばほぼこの持ち方に分類されます。シャフト(動力を伝えるための回転軸)が固定されているので、体と刈刃の距離を保ちやすく、綺麗に刈り取れ、比較的安全に作業が行えます。 |
背負い式草刈機 |
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シャフト(動力を伝えるための回転軸)の固定がないため、刈刃を自由に動かし、小回りを利かせながら作業ができます。障害物が多かったり、急な斜面での作業で大活躍します。 |
手押し式草刈機 |
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ある一定のメーカーからのみ販売されている特殊なタイプの持ち方です。車輪がついており、自重がほぼそこで支えられているので負担は一番少ないです。 |
※ 当表は参考であり、すべての草刈機に該当するとは限りません。詳細は草刈機個体の仕様表をご確認ください。
エンジン式草刈機には、2サイクル、2ストローク、4サイクル、4ストロークといった表記があります。
これは何かと言うと、
草刈機のエンジンがどのような動きで動力として稼働しているのかを表しており、ランニングコストや耐久性など様々な面で違いがあります。
“ストローク”や“サイクル”というのは言い回しが違うというだけで、基本的には同じ意味となりますので、ここでは“サイクル”を基本とし説明していきます。
エンジンが「動力」を生み出すには、燃料を「爆発(燃焼)」させ、そのエネルギーを「動力」に変換しなければなりません。その変換までの工程の違いが2サイクルと4サイクルの違いとなります。
変換の工程は、大きく分けると「吸気」→「圧縮」→「爆発(燃焼)」→「排気」の4工程となっており、「吸気」と「圧縮」を1工程、「爆発(燃焼)」と「排気」を1工程で行い、計2工程でエネルギーを変換をするのが2サイクル、それぞれをバラバラに行い、4工程でエネルギーを変換するのが4サイクルとなります。
また、エンジンの構造自体も大きく異なるため、燃料についても違いがあります。2サイクルには、エンジンの焼き付きを防止するためのエンジンオイル部分が搭載されていないため、燃料に直接オイルを混ぜ、注入することで、潤滑油の役割をしてもらい、焼き付きを防止しております。そのため、2サイクルに燃料を補充する前に、「混合燃料(混合油、混合ガソリン)」を作成しなければなりません。燃料やオイルによって混ぜる割合(50:1など)は様々ですが、必ず使用する燃料や草刈機に記載がありますので、間違いないよう混ぜ、使用しましょう。また、最初から混合燃料として販売されている燃料もあります。一方4サイクルには、エンジンオイル部分が搭載されているため、燃料とは別に草刈機に合ったオイルを注入し、燃料を補充し使用します。ただ、オイルには2サイクル用と4サイクル用があるので注意が必要です。
燃料 |
燃料 |
燃料 | 燃料 |
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2サイクルエンジンと、4サイクルエンジンにはそれぞれに特徴があり、性能も大きく変わるため、違いを把握したうえで、自分に最適なものを選ぶ必要があります。ここでは、それぞれの特徴を紹介します。
サイクル | メリット | デメリット |
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2サイクル |
メリット
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デメリット
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4サイクル |
メリット
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デメリット
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草刈機の刈刃には大きく分けて、「チップソー」「金属刃」「ナイロンコード」の3種類が存在します。それぞれに特徴があり、状況にあった刃を選ぶ必要があります。ここでは、「チップソー」と「金属刃」の特徴を説明いたします。
種類 | メリット・デメリット | 特徴 |
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チップソー |
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一般的に草刈機といえば、鋸刃の先端に金属片がついたこのチップソーが主流となっています。特にこだわりがない場合は、これを選んでおけば間違いありません。刃の直径が230mmと255mmの主に2種類となっております。直径が大きければ作業効率は上がりますが、その分抵抗も大きくなるため、排気量が低い草刈機には小さい直径のものが推奨されていることが多いです。また、刃の数にもよって特徴が異なるため、様々な場面に合わせ、たくさんの種類の刃が存在します。 |
金属刃 |
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チップソーから金属片を取り、刃数を減らしたものが金属刃になります。2〜8枚刃が主流で、刃数が少ないほど広範囲を刈るのに適していますが、2枚刃は自治体によっては使用が禁止されている場合もありますので注意が必要です。また障害物に当たった時の反動がかなり大きいため、障害物がないとわかっている場所での使用に限られます。その反面、刃が丈夫なため、チップソーにくらべ交換頻度は低く、ランニングコストが抑えられます。草刈りの頻度が高く使用に慣れた方にお勧めの刃です。 |
先で説明したように、チップソーは「サイズ」や「刃数」によって特徴が大きく変わるため、様々な場面で最大の作業効率が望めます。自分の草刈りの状況にあったチップソーを選び、作業効率の向上を目指しましょう。ただし、個人の使用感によって変わることもございますので、実際に使用し、刃を変える際に試しながらあったものを探すのが一番の理想です。
230mm | |
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刃が小さく軽いので、草刈機への抵抗は少ない反面、刈り取り幅が狭いため、作業効率は直径が大きいものと比べ落ちます。低排気量の場合はこれが推奨されていて、刈る面積が少なく、細い草が多い場合に向いています。 | |
250mm | |
刃が多きく重いので、草刈機への抵抗が大きくなります。作業効率が良く、高排気量の草刈機に標準装備されていることが多いので、広範囲で様々な草を刈るのに向いています。 |
約36~50個 | |
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刃数が少ないため、草刈機にかかる抵抗が少ない反面、草にあたったときの衝撃が刃数が多いものに比べて大きくなります。やわらかい草を刈る場合は一般的に刃数が少ないほうが良いとされています。 | |
約51~70個 | |
刃数が多いため、草刈機にかかる抵抗が大きい反面、草にあたったときの衝撃が少ないです。一般的に表面が固い草や雑木等を刈るのには刃数が多いほうが良いとされています。 |
※ 当表は参考であり、すべての草刈機に該当するとは限りません。詳細は草刈機個体の仕様表をご確認ください。
草刈機の刈刃には「ナイロンカッター」または「ナイロンコード」と呼ばれている、金属ではない刃が存在しています。金属ではないのに草を刈れるの?と疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、上手に使えば、金属の刃より安全かつ効率的な作業が可能となります。
様々な呼ばれ方をしていますが、一般的には草刈機の刈刃の部分に「ナイロンカッター」を取り付け、「ナイロンカッター」の刃として「ナイロンコード」をつけ、使用するものになります。草を切る、と言うよりは、粉砕・ちぎるといった感じで草を刈っていきます。
また、粉砕・ちぎると言ったナイロンカッターの特性上、刃物でスパッと切るよりも、エンジン・モーターに負担がかかりやすいため、安定して使用するには高出力のパワーが要求されます。近年充電式草刈機のラインナップ増加に伴い、お手軽に草刈機が使用できるようになってきております。
「刃物は怖い、ナイロンカッターを使用したいけど、どの草刈機に使えるの?」といったお声をいただく機会も増えております。ここではそんなナイロンカッターの特徴をご説明させていただきます。
※ 回転する刃が石などにぶつかり、はじかれる現象です。草刈機でのキックバックによる事故には死亡例もあります。
上記でも説明したように、ナイロンカッターは草刈機への負担が大きいものになります。そのため、パワーが低く、少し硬い草を刈ったりする場合、回転が止まってしまうこともあり、そうなってしまうと非効率な作業となってしまいます。一般的には刃の回転数が、毎分6,000回転以上(排気量25cc以上程度のパワー)あれば効率的に作業ができるといわれております。ただ、現在は、切れ味が高く低排気量でも使いやすい特殊なナイロンコードがあったりするので、一概には言えません。自分の持っている、またはこれから買おうとしている草刈機と、ナイロンカッター、ナイロンコードの性能をみて、使用するのが一番良い選択と言えます。
ナイロンカッターにも、ナイロンコードにも様々な種類があり、それぞれの草刈りの条件に合ったものを選ばなければなりません。ここでは、代表的なナイロンカッターとナイロンコードについて紹介致します。
種類 | メリット・デメリット | 特徴 |
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差し込み式 |
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適当な長さのナイロンコードを差し込んで使うナイロンカッターです。ローター部分が薄く作れるので草を短く刈り込むことが出来ます。使い方が難しくなく、初めての方でも使いやすいタイプのナイロンカッターです。替えのコードが他より少しコストが高く、交換時も草刈機を停止する必要があるので、障害物が多く、コードの消耗が激しい場所には向いてません。 |
巻き込み式 |
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ナイロンカッターに、長いナイロンコードを巻きつけておき、ナイロンコードが減ってきたら草刈機を止め手動でナイロンココードを繰り出すタイプのナイロンカッターです。差し込み式同様、ローター部分を薄く作れるので草を短く刈りこむことができます。交換作業も覚えてしまえば簡単で、初心者の方からベテランの方まで幅広く人気があるタイプです。 |
セミオート式 |
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ナイロンカッターに、長いナイロンコードを巻きつけておき、ナイロンコードが減ってきたら草刈機を止めずに、タップを地面に当てることでナイロンココードを繰り出すタイプのナイロンカッターです。草刈機を止めずにナイロンコードを新しくできるので、作業効率が上がります。構造上、巻き込み式と比較し重く、ナイロンコードの形状に制限があります。 |
フルオート式 |
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ナイロンカッターに、長いナイロンコードを巻きつけておき、ナイロンコードが減ってきたら、コードの繰り出しが自動で行われるタイプになります。一定の長さ以上のコードが出ないようになっているのでコードの出しすぎが起こりません。構造が複雑なため重く、他のナイロンカッターと比較すると故障しやすいです。高排気量の草刈機でのみ使用可能です。 |
種類 | 特徴 |
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丸型 |
耐久性が高く、一般的なナイロンコードで、どんなナイロンカッターにも使えます。 |
角型 |
丸型より若干耐久性が下がりますが、切れ味が上がったタイプです。丸型同様汎用性が高いです。 |
スパイラル型 |
螺旋状の紡糸成形で、騒音が少し抑えられています。住宅付近での作業に向いています。 |
ノコギリ型 |
ノコギリのような見た目をしており、切れ味や耐久性が上がったものですが、値段が高いです。 |
※ 当表は参考であり、すべての草刈機に該当するとは限りません。詳細は草刈機個体の仕様表をご確認ください。
草刈機を使うか悩んでいるとき、動力がついていて、鋭利な刃もついているので、誰しもが「危険」じゃないかを考えると思います。単刀直入に言えば、もちろん「危険」は伴います。ただし、草刈機にどんな危険性があるか理解し、事前に対策を行って草刈機を使用すれば、だれでも使える安全で効率的に草刈りを行えるとても便利な道具です。ここでは、どんな危険性があるか、対策はどんなものがあるのかをご紹介します。
※
すべての事故内容、対策を網羅しているわけではありません。必ず各草刈機の使用方法を確認し、安全をご自身で確認してから作業を 行ってください。
例1:刃の回転が止まったため、エンジンを切らずに確認したところ、刃が急に動き出し、指を切った。
例2:周りを確認せずに草刈りを始めてしまい、近くにいた人の足を切ってしまった。
例1:草刈機を使用中、落ちていた2cmほどの針金が草刈機に巻き込まれ、勢いよく飛び、防護服を着用していなかったため、針金が胸に刺さった。
例2:草刈機の刃が障害物に接触し、破損した刃の破片が飛び、ゴーグルをしていなかったため眼球に刺さってしまった。
例1:草刈機の使用方法を守らず、刃の右側で固い木を切ろうとしてしまい、草刈機のコントロールを失い、近くで作業している人を傷つけた。
例2:草を刈っていたところ、大きい石にはじかれ、草刈機のコントロールを失い自分の足を切ってしまった。
上記のとおり、様々な事故が起きております。下記ルールを守るとともに、使用前に必ずご自身が使う草刈機の能力を理解したうえで、作業を開始してください。
用途に沿った草刈機を利用することで、安全かつ効率的に作業が可能になります。ここでは、様々なシーンに合わせ、おすすめの草刈機を紹介しておりますので、自分の作業環境に最も近い環境をお選びください。
排気量21cc以下/電圧14.4Vの商品をおすすめします。 高さ40cm未満の柔らかな草・雑草、 一般家庭・公園・畝道や小規模な農地での利用に適しています。
排気量23.1〜26cc/電圧18Vの商品をおすすめします。 背丈ほどの草、笹にも対応しており、農業者などセミプロ〜プロ向きです。 一般的なナイロンカッター適応クラスで専門職に対応した製品もございます。
排気量21.1〜23cc以下/電圧18Vの商品をおすすめします。 腰高の柔らかな草や茎の多少固い草まで幅広く対応可能です。 一般家庭から農業用・緑地管理など幅広く活躍できます。
排気量26.1cc以上の商品をおすすめします。 背丈ほどの草や笹、枝などを刈ることができ、林業の下草刈りや地拵えにも向きます。 プロ仕様で専門性が高く、丈夫でハイパワーなのが特徴です。